デュアルSIMとは？メリット・デメリットやおすすめ組み合わせ

1台のスマホで2つの回線が使えるデュアルSIM。通信障害やデータ不足のリスクを回避できる点や利便性が特徴です。

「おすすめの使い方や組み合わせ方を知りたい」と、デュアルSIMの導入を前向きに検討している人もいるでしょう。

一方、デュアルSIMを使うには機種や料金などの点も確認が必要です。「料金が高くならないか不安」「デメリットも知りたい」と考えている人もいるでしょう。

この記事では、デュアルSIMについて、メリット・デメリットやおすすめの組み合わせなどを紹介します。

デュアルSIMを活用してより便利にスマホを使いたい人は、ぜひ参考にしてください。

デュアルSIMとは？

デュアルSIMとは、1つの端末に2つのSIMを組み込み、回線を切り替えながらスマホを使う利用方法です。デュアルSIMの仕組みや種類について解説します。

デュアルSIMの仕組み

デュアルSIMでは、1つのスマホに2つのSIMを組み込んで使います。

SIMは通信・通話をするための利用者情報や識別番号などが記録されたICチップです。私たちが使うスマホは、SIMを組み込まないと通信や通話ができません。

デュアルSIMでは2つのSIMを使うため、2つの通信・通話に関する情報を組み込みます。そのため、通信回線や電話番号を自在に切り替えながら利用できます。

SIMには、カード状の物理型SIMと、端末自体に埋め込まれているeSIMの2種類があります。eSIMは端末のICチップに情報を書き込むもののため、物理的な形状を持ちません。

デュアルSIMでは、2タイプのSIMを端末に合わせて組み合わせながら使用します。2つのSIMの主な組み合わせは以下の通りです。

出典：IIJmio

端末ごとに利用できる物理SIMやeSIMの数は異なります。利用している端末に対応した組み合わせを選びましょう。

デュアルSIMの種類

デュアルSIMには4つの種類があり、それぞれ特徴や利用できる機能の範囲が異なります。それぞれの特徴は以下の通りです。

また、種類別の機能は以下のとおりです。

デュアルSIMの種類は製品ごとに定められています。

現在の主流はDSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)で、XS以降のiPhoneや2018年以降発売のAndroidスマホなどに多く採用されています。

自分の端末がどの種類か気になる人は、製品メーカーに問い合わせてみましょう。

デュアルSIMのメリット

デュアルSIMのメリットは、以下の5点です。

デュアルSIMのメリットをおさえ、より快適なスマホ活用を実践してみましょう。

仕事とプライベートで番号を使い分けられる

デュアルSIMが使えれば、仕事用とプライベート用で2つの電話番号を使い分けられます。

電話番号が使い分けられれば1台のスマホで公私の電話ができ、スマホを2台持つ必要がありません。

会社側も社用携帯を支給する必要がなくなるため、経費の削減が可能です。

通信障害時の予備回線として使える

大規模な通信障害で通信回線が使えなくなっても、デュアルSIMであればもう片方のSIMで回線が利用できます。

予備回線であればデータ容量は小容量でよいため、料金が大幅に跳ね上がることなく通信障害に備えられます。

予備回線として使う場合は「ドコモとau」「ドコモとソフトバンク」のように使える回線を分けておきましょう。2つのSIMが同じ回線の場合、通信障害時に予備回線としての役割を果たせません。

うまく組み合わせればスマホ料金を安くできる

デュアルSIMの組み合わせ次第では、SIMが1つの場合よりも料金を抑えられます。

特に、大手キャリアを契約している人であれば、デュアルSIMにしても料金を下げられる場合があります。

インターネットとのセット割のような割引制度や、使った分だけ請求される従量制プランを併用すると、よりお得に利用可能です。

デュアルSIMで組み合わせの幅を広げて、自分に合ったデータ容量のプランを使いながら上手に節約しましょう。

データ容量が不足したときに備えられる

メイン回線のデータ容量を使い切ってしまったときも、デュアルSIMであれば心配いりません。

他方の回線が使えるため、サブ回線でデータ通信ができます。「データの追加はお金がかかるためしたくない」という人は、デュアルSIMを採用してデータ不足に備えましょう。

ただし、メイン回線の1GBあたりのデータ追加料金がサブ回線のプラン料金より安ければ、デュアルSIMよりもメイン回線でデータ追加をした方がお得です。

データ追加料金とサブ回線のプラン料金を比較し、デュアルSIMの導入により料金面で損をしないかチェックしておきましょう。

海外旅行用のSIMを常備できる

デュアルSIMを契約すれば、海外旅行用のSIMを常備できます。

海外でデータ通信するには、国際ローミングへの対応が必須です。格安SIMのうち、MNOと呼ばれる大手キャリアのサブブランドや格安プランでは、ほとんどが国際ローミングに対応しています。

ローミングに対応している格安SIMを契約すれば、海外でデータ通信をするときもSIMを取り替える必要はありません。

例えば、ahamoと楽天モバイルの組み合わせの場合、両方が国際ローミングに対応しています。

海外によく行くなら、メイン回線と海外用回線のデュアルSIMの利用を検討してみてください。

デュアルSIMのデメリット

デュアルSIMのデメリットは、以下の3点です。

デュアルSIMは利便性の高さが特徴ですが、機種の制限などのデメリットが存在します。デメリットを把握して、デュアルSIMの採用を検討しましょう。

デュアルSIM対応機種でないと使えない

デュアルSIMは、機種がデュアルSIM利用に対応していないと使えません。特に、eSIM非対応の機種はカードスロットが2枚ない限り、デュアルSIMの採用は不可能です。

中古の端末を使っている人は、最新機能が搭載されておらずデュアルSIMを使えない可能性があります。2つのSIMを契約する前に、必ずeSIMやデュアルSIMに対応しているか確認しておきましょう。

「デュアルSIMの対応機種」の項目では、代表的なスマホのデュアルSIM対応状況を解説しています。

バッテリー消費が早い

デュアルSIMは2枚のSIMで電波を送受信するため、バッテリー消費が早くなります。バッテリー容量の少ない端末ではすぐに充電が切れてしまう可能性があるでしょう。

特に、Android OSを搭載している端末では、使用していない間も電波を探して接続を試みようとする「セルスタンバイ」状態になることがあります。

セルスタンバイ状態となると、圏外の場所に行ったとしてもSIMが電波を探し続けてしまうため、何もしていなくてもバッテリーを消耗します。

長時間の外出をする場合は、モバイルバッテリーを持ち歩いたり、バッテリー容量の大きい端末を使ったりという工夫をするのがおすすめです。

SDカードスロットを使うことがある

Android機種の中には、SDカードスロットがSIMカードスロットを兼ねているモデルがあります。

このようなモデルでは、デュアルSIMにするとSDカードが使えません。SDカードでスマホのストレージをカバーしていると、ストレージ不足になってしまいます。

SDカードとデュアルSIMを併用したいなら、物理SIM1枚とeSIM1つやデュアルeSIMといった形での導入がおすすめです。

デュアルSIMの対応機種

デュアルSIMでスマホを使う際は、自分の機種がデュアルSIMに対応しているか必ず確認しましょう。主なデュアルSIM対応機種は以下のとおりです。

機種	モデル
iPhone	iPhone XR・XS以降 ※iPhone13シリーズ以降とiPhone SE（第3世代）はデュアルeSIM対応
Galaxy	Galaxy S24シリーズ Galaxy A55 5G Galaxy Z Fold5/Flip5 など
Xperia	Xperia 1シリーズ Xperia 5シリーズ Xperia 10　Ⅲ Lite/Ⅳ以降 Xperia Pro以降 など
AQUOS	AQUOS Senseシリーズ AQUOS Rシリーズ AQUOS Wishシリーズ など
Google Pixel	Google Pixel 8シリーズ Google Pixel 7シリーズ など
その他	OPPO Reno11 A Redmi 12 5G moto g24 Zenfone 10 Redmi Note 10 T 他多数

自分の使っている機種がデュアルSIMに対応しているかどうかは、公式サイトで製品ページをチェックしたり、SIMカードスロットが2個あるか確認してみましょう。

新しい機種であれば対応している可能性が高いですが、古いものはデュアルSIMに非対応の場合があります。

デュアルSIMにおすすめの組み合わせ

デュアルSIMのおすすめの組み合わせパターンを紹介します。以下の組み合わせはバランスが良く、大量のデータ通信や旅行などの特定の用途でも使いやすいのが特徴です。

以下の記事では、おすすめの格安SIMを紹介しています。本記事とあわせてチェックしてみてください。

LINEMO × povoで格安運用

※下り平均通信速度は、「みんなのネット回線速度」に掲載されている2024年8月直近3ヵ月のデータを引用したものです。

料金の安さを重視したいなら、LINEMOとpovoのデュアルSIMがおすすめです。LINEMOは3GB～30GB、povoは1GB～150GBのデータ容量のラインナップがあります。

povoは基本料金が0円となっており、必要なときのみデータを購入して利用できます。

LINEMOをメイン回線として利用し、データ容量が不足したときはpovoのトッピングを追加するといった使い方にすれば無駄がありません。

また、LINEMOはソフトバンク、povoはauのオンラインプランで、回線は大手と同じものを使えます。安定した速度の通信が期待でき、満足いく通信品質でスマホを使えます。

通信費の安さと通信品質どちらも妥協したくないなら、LINEMOとpovoの組み合わせを検討しましょう。

ただし、povoのデータ購入は180日間に一度行わないと、利用停止や契約解除の可能性があります。半年に一度や3ヵ月に一度など、定期的にデータ容量や通話サービスをトッピングして運用しましょう。

以下の記事では、LINEMOの評判を紹介しています。こちらも参考にしてください。

mineo × 日本通信SIMで柔軟にデータ追加

※下り平均通信速度は、「みんなのネット回線速度」に掲載されている2024年8月直近3ヵ月のデータを引用したものです。

データ通信を重視したいなら、mineoと日本通信SIMのデュアルSIMがおすすめです。どちらもデータ追加の柔軟さが特徴で、自分の使い方に合わせて追加ができます。

mineoは100MB単位でデータ追加が可能です。料金は100MBあたり55円(税込)で、データ容量が少しだけ欲しい場合に便利です。

日本通信SIMは1GBあたり220円(税込)と格安で追加できるため、3GBを730円(税込)で使えます。

プランも小容量から大容量まで用意されているため、どちらもメインSIMとして活用可能です。

mineoは低速ながら無制限通信ができる「マイそく」プランもあり、データ通信用回線としても役立ちます。

また、mineoは3回線から好きなものを選べます。日本通信SIMはドコモ回線しか利用できないため、2つを組み合わせるならmineoはauかソフトバンクの回線にしておくと、通信障害にも対応可能です。

IIJmio × LinksMateでゲームのデータ消費節約

※下り平均通信速度は、「みんなのネット回線速度」に掲載されている2024年8月直近3ヵ月のデータを引用したものです。

ゲームや動画視聴で大量のデータ消費をするなら、IIJmioとLinksMateのデュアルSIMがおすすめです。

LinksMateは月額550円(税込)のカウントフリーオプションに加入すれば、ゲームや動画視聴、SNSなどのギガ消費を90％以上節約できます。

以下のように様々なゲームやアプリがカウントフリーの対象です。

オプションに加入することで月額料金は少し上がりますが、動画やゲームを楽しむことが多い人ほどお得に利用できます。

IIJmioはプラン料金の安さが特徴です。5GBが月額990円(税込)、20GBが月額2,000円(税込)で利用でき、メインとしてもサブとしても優秀です。

通話料も30秒ごとに11円(税込)と安いため、デュアルを運用する際は通話が多い方の回線をIIJmioにするとよいでしょう。

IIJmioをメイン、LinksMateをサブ回線またはデータ専用回線にすると、料金やデータ容量のバランスがとれて満足いく使い方ができます。

以下の記事では、IIJmioの評判を紹介していますので、ぜひこちらも参考にしてください。

ahamo × 楽天モバイルで海外旅行に対応

※下り平均通信速度は、「みんなのネット回線速度」に掲載されている2024年8月直近3ヵ月のデータを引用したものです。

海外旅行でも使えるデュアルSIMにするなら、ahamoと楽天モバイルの組み合わせがおすすめです。

どちらも国際ローミングに対応しており、海外でも国内と同じようにデータ通信ができます。

ahamoは海外でも20GB使えるため、海外でのメイン回線としての運用が可能です。楽天モバイルは海外利用できるデータが2GBまでのため、渡航時のサブ回線にするとよいでしょう。

国内利用の場合、国内で無制限通信ができる楽天モバイルをメインとした運用もできます。

ahamoは20GBで月額2,970円(税込)、楽天モバイルは最安で月額968円(税込)のため、料金面ではややコストが嵩みます。

しかし、海外に行く頻度が多かったり中容量以上のデータ容量を要するなら、ポケット型WiFiのレンタルや大手キャリアの国際ローミングよりも安く利用可能です。

デュアルSIMの導入方法

デュアルSIMの導入手順は、SIMの組み合わせによって異なります。以下の3パターンに分けて導入手順を解説します。

導入の手順は決して難しくないため、ゆっくり確実に進めましょう。

物理SIM+物理SIMの手順

物理SIM2枚でデュアルSIM環境を作る場合の手順は、以下の通りです。

物理SIM2枚の場合は、SIMカードを入れてAPN設定をすれば完了します。

SIMには利用者情報や通信回線の情報などが登録されており、差し込めばそれぞれの回線が有効化されます。

物理SIMは契約手続きを終えてから手元に届くまでに時間がかかりますが、設定は比較的早く完了します。

APN設定の方法は利用する通信事業者によって異なります。契約時に届くマニュアルや、公式サイトを参考に設定しましょう。

物理SIM+eSIMの手順

物理SIMとeSIMを組み合わせてデュアルSIMにするには、以下の手順で設定を行います。

物理SIMを契約済みの場合はeSIMを契約して有効化し、デュアルSIM環境を作ります。eSIMに対応している携帯会社にSIMのみの契約を申し込み、携帯会社の指示に従って有効化の手続きをします。

eSIM有効化までの手続き方法は各社で異なるため、案内メールや公式サイトの内容に沿って手続きをしましょう。

なお、メインのSIMがeSIMの場合は物理SIMを携帯会社へ申し込み、手元にカードが届くのを待ちます。SIMカードを端末に挿入すれば、すぐにデュアルSIM運用が可能です。

eSIM+eSIMの手順

eSIM同士でデュアルSIMを運用する際は、以下の手順で設定しましょう。

既にeSIMを契約しているのであれば、2社目の携帯会社にeSIMを申し込みます。各社で手続きの仕方が異なるため、案内に沿って行いましょう。

1社目のSIMを物理SIMからeSIMに切り替える場合は、契約している携帯会社の会員専用ページなどでSIMを再発行しましょう。

iPhoneであれば「設定」で物理SIMの情報をeSIMに変換し、瞬時にデュアルeSIM環境が作れます。

以下の記事では、eSIMのおすすめ13社を紹介しています。ぜひこちらもあわせてお読みください。

デュアルSIMについてよくある質問

デュアルSIMに関するよくある質問をまとめました。契約時や手続き時の参考にしてください。

デュアルSIMの特徴まとめ

デュアルSIMのメリットやデメリット、対応機種、おすすめの組み合わせを紹介しました。

デュアルSIMは2つの回線を自在に使えるため、スマホを使う場所によって回線を変えたり、いざというときの予備として利用できたりと「スマホを使うシーン」の幅を広げてくれます。

一方で、端末によってはデュアルSIM運用ができないものもあります。

最新機種であればほぼ問題ありませんが、中古端末を使っている人は端末の買い替えが必要な場合があるのが難点です。

デュアルSIMは一度設定して運用し始めると、SIM1つのときとは快適さが違います。ぜひデュアルSIMを採用して、より快適にスマホを使いましょう。

以下の記事では、格安SIMのキャンペーンを比較しています。お得に契約したい方は、こちらもご覧ください。