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- 更新日:2020年01月28日
iPhone 11・端末値引き上限で中古スマホ市場は変化したか?(2019年10~12月中古スマホ相場ランキング)
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2019年10月は改正電気通信事業法が施行され、携帯会社は大きな変革を余儀なくされました。電気通信事業法によって大きく変わったのは、端末割引と解約金です。
法改正によって通信料金と端末代金が分けられ、端末代金の割引が上限2万円に設定されました。これまで1万円に近かった解約金は、各社1000円へと値下げされたのです。
さらに10月は、大手キャリアからAndroidの冬モデルが発売されました。これは端末割引規制後、初めて大手キャリアから発売された端末です。
端末割引規制やAndroid新機種の発売によって、中古スマホ市場はどのように動いたのでしょうか。2019年10月~12月のスマホ市場の動きから、現在のトレンド端末と今後の市場動向を探っていきます。
iPhone 7とiPhone 8がランキング上位を譲らず
中古スマホ市場全体では、iPhone・Android共に前四半期と比べて取引数が減少しました。iPhoneの取引数は、前四半期比で3.2%減少しています。
中古と新品を含めたiPhone全体の取引数が減っている一方で、中古iPhoneの取引数は前四半期比で5.4%増加しました。
端末割引が減った影響で新品iPhoneに機種変更する動きが鈍り、中古iPhoneの取引数が増えたものと思われます。
実際、ランキング上位は前四半期同様iPhone 7・iPhone 8が占めており、2018年発売のiPhone XS/XS Max/XRシリーズは1機種もランクインしていません。
最新機種発売と共に型落ちモデルが徐々にラインクインしていくのが例年の動きですが、今回そうした動きは見られませんでした。
割引規制で例年よりも機種変更がしづらくなっていることに加え、最新のiPhone 11シリーズに機能面で大きな進化がなかった点も、1つの要因として考えられます。
過去モデルと比べたiPhone 11シリーズは、レンズ搭載数等の変化はあれど性能面で大きく変化した点は多くありませんでした。
端末割引がほとんどきかない中で、ユーザーにとって機種変更するだけの魅力が薄かったのではないか思われます。
Google Pixel 3aがランキング急上昇
Androidの取引数は、前四半期比で21.5%減少しました。iPhoneの取引数が3.2%減少だったことを考えると、大きな変動です。
また、iPhoneでは新品を除く中古品取引数は5.4%増加していましたが、Androidの中古品取引数は15%も減少しています。
これは、最新iPhoneと最新Androidの価格差によるものだと思われます。2019年9月に発売された最新iPhone 11シリーズは、最安モデルで74,800円、最高モデルで157,800円という価格設定です。
2018年発売のiPhone XSシリーズと比べ、全モデル1万円ほど値下がりしたといえど高価であることに変わりはありません。
一方のAndroid冬モデルでは、AQUOS sense3を筆頭に低価格のエントリー~ミドルレンジスマホが数多く発売されました。ハイエンドスマホにおいても、例年より数万円安い価格設定がなされています。
そのため、端末割引規制後も新品Androidへ機種変更する動きは衰えず、中古Androidの取引数は伸びなかったのではないかと考えられます。
中古Androidの中で最も取引数が減少したのは、Xperia XZ3です。前四半期1位だったところ、11位まで落ちてランキング圏外となっています。
Xperia XZ3は2018年に発売されたモデルで、2019年7月に後継機種のXperia 1が発売されました。
Xperia 1の発売と同時にXperia XZ3は大きく値下げされたため、新品のXperia XZ3を転売するユーザーが増え、前四半期は1位にまで順位を上げました。
各社Xperia XZ3の在庫がなくなったことから転売が減り、ランキング順位が下がったのだと考えられます。
取引数が大きく増えたのは、6位のGoogle Pixel 3a(64GB)です。2019年7月発売の新しい端末ながら、平均価格が39,182円と手頃であること、十分な機能を備えていることから人気が集まったのだと予想されます。
総評
9月に新型のiPhone 11シリーズを発売したApple。iPhoneの新作発売後は機種変更に伴い、型落ちになったiPhoneシリーズがランクインしていくのが例年の動きです。
しかし、2018年発売のiPhone XS/XS Max/XRは一切ランクインせず、ランキング上位の顔ぶれは変わりませんでした。
毎年Appleは春と秋に新製品発表会を行うため、2020年3月には新型iPhoneが発売されるとの噂があります。今回のiPhone 11シリーズの動きを見る限り、価格の大幅改善や新機能が搭載されなければ、売れ行きは厳しいと予想されます。
一方のAndroidは低価格帯のスマホを発売したことで、端末割引規制後も機種変更するユーザー数に大きな変化はなさそうです。
加えてAndroidは、端末割引規制後も「一括0円」や「一括1円」といったキャンペーンが一部の家電量販店で実施されています。元々の価格が2万円前後のエントリーモデルは、割引上限を2万円としても「一括0円」に近い価格で販売できるからです。
今回のAndroidのランキング傾向も踏まえると、今後の中古Android市場ではエントリー・ミドルレンジモデルの需要が高まり、取引数が増えていくのではないでしょうか。
携帯業界全体では、新生活の始まりと共に携帯を買い換えるユーザーが増えるため、3月は携帯が最も売れる時期です。多くの携帯会社では販売商戦を勝ち抜くために、大きな割引キャンペーンを3月に実施する傾向があります。
一方で1月~2月は目立ったキャンペーンやキャリアの端末発売もなく、ユーザーも携帯を買い控えるので、中古スマホ市場の流通量は落ち込むと考えられます。
ただし、これはあくまで例年の動きから想定される市場動向です。2020年は、日本で5Gサービスの提供が開始されるという大きな変化があります。具体的なサービス開始日は今のところ不明ですが、ドコモは2020年春、auとソフトバンクは2020年3月開始予定と発表しています。
大手キャリアは例年5月頃からAndroidの夏モデルを発売するため、5G対応スマホの発売まで機種変更を控えるユーザーが増える可能性があります。
5Gサービススタートで、中古スマホ市場はどのように変化していくのでしょうか。1月以降の中古スマホ市場の動向に注目が集まります。
1983年生まれ。株式会社マーケットエンタープライズ
中古モバイル市場アナリスト
ソフトウェア開発会社にて、開発業務からスタートし、新会社設立時のWebマーケティング全般の業務を担った後、2010年にマーケットエンタープライズに入社。
当社でWebマーケティングの責任者や経営企画を担当後、現在は、メディア・プラットフォーム事業の責任者に従事する。膨大なデータの分析・管理能力を活かして、中古モバイル市場の動向を分析するアナリストも兼任する。
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