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  • 更新日:2020年03月12日

新型コロナウイルス、スマホ市場に大打撃か―iPhone、Android各社新モデルの発表の遅延

新型コロナウイルス、スマホ市場に大打撃か―iPhone、Android各社新モデルの発表の遅延

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【先読み!2020年2月スマホ市場取引数の内訳】

  • iPhone:前月比-8.80%:iPhoneは取引数が大きく減少
  • Android:前月比-0.96%:Androidは取引数ほぼ横ばい

2020年2月は、新型コロナウイルス拡大の影響により様々な業界に打撃を与えました。

スマホ業界ではAndroid各社の新端末の発表・発売が遅延する中で、シャープが「AQUOS zero2(SH-M13)」のSIMフリー版を3月13日に発売します。

AQUOS zero2は、すでにドコモ、au、ソフトバンクにて発売中ですが、今回さらにSIMフリーという選択肢が加わります。

同端末は6.4インチの大画面ながら、重量を141gに抑えた世界最軽量級スマートフォンとなっており、画面サイズはiPhone 11 Pro Maxと同等、重量はiPhone 8よりも軽量です。

本記事では、中古スマホ取引市場で取引量の多かった端末を、ランキング形式でご紹介しています。

※フリーマーケットアプリやインターネットオークション等主要4サイトの取引実績により抽出した価格情報を元に、2020年1月と2月を比較しています。

中古iPhone市場

2020年2月のiPhone全体の取引市場は、1月と比べてiPhone全体の取引数は8.80%減少しており、新古品が前月比-14.44%、中古品が前月比-8.13%と全体的に減少傾向になっています。

2月の中古iPhone端末ランキングは、iPhone 7とiPhone 8が上位を独占していて、その中で最も取引数の減少が目立ったのは1月の相場ランキングで2位のiPhone 7 128GB(au)、同月5位のiPhone 6s 64GB(ソフトバンク)の2機種です。

▼iPhone 7全体の取引量の推移(2019年4月~2020年2月)

iPhone7

中古市場で取引されたiPhone 7の商品状態別で見ると、最も取引数が減少したのは4位にランクダウンした中古品のiPhone 7 128GB(au)でした。

これは、iPhone SE2(iPhone9)の3月下旬発表、4月上旬発売が噂される中で、メルカリを中心にiPhone 7の取引量が減少していることから、iPhone 8、iPhone XRなどへの機種変更を検討している一般の利用者が買い控えをしていると考えられます。

10位にランクダウンしたiPhone 6s 64GB(ソフトバンク)は、iPhone市場としても減少トレンドにあるモデルです。

1月の中古iPhone端末ランキングでは、iPhone 8の取引総数がiPhone 6sの取引総数と逆転しています。

iPhone 6sは2015年9月に発売されたモデルで、既にApple Storeでは販売を終了していますが、日本では現在NTTドコモ、Y!mobile、UQ mobileがiPhone 6sを新品として取り扱っています。

中古Android市場

2020年2月のAndroid全体の取引市場は、1月と比べてAndroid全体の取引数は0.96%減少しており、新古品が微増、中古品が微減とほぼ横ばいの取引数となっています。

1位にランクインしたGalaxy A20 32GB(ドコモ)は、2019年10月12日(土)からドコモオンラインショップにて開催されている「端末購入割引」の対象端末で、新規契約もしくは4G回線から乗り換え(MNP)をするとdポイントを16,500ポイントもらえます。

中古市場では前月と比べると平均価格は下がったものの、フリマ市場では多くの新品未使用品を中心に取引されています。「端末購入割引」が続く間は、フリマ市場でも継続して新品未使用品の取引が行われると考えられます。

また、年末年始の商戦が過ぎてからも、家電量販店などの店頭販売でも端末割引は続いているため、それが転売されてフリマ市場での取引が増えると推測されます。

ランキング外ではあるものの、商品状態の内訳で最も取引数が増加したのは、AQUOS sense3 64GB(ドコモ)でした。

AQUOS sense3は、Galaxy A20同様に「端末購入割引」の対象端末となっていて、ドコモオンラインショップで新規契約もしくは4G回線からの乗り換え(MNP)で22,000円割引が適用されて9,680円で購入できます。

中古市場では、新品未使用品が多く取引されており、フリマ市場で出品する業者が多く見られるため、転売された端末が取引数を押し上げたと考えられます。

総評

新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴って、2020年2月24日~27日スペイン・バルセロナにて開催予定であった世界最大級のモバイルイベント「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」の中止が発表されました。

同イベントでは、サムスンやファーウェイ、ソニーなどのAndroid各社が新端末の発表を行う予定であったため、今回の中止は短期的に業界のマーケティング活動に大きな打撃を与えたと考えられます。

有名アナリストMing-Chi Kuo氏によると、2020年のフラッグシップモデルiPhone 12(仮)シリーズや廉価モデルiPhone SE2(仮)の開発や生産にも影響が出ているとのことです。

河南省鄭州市にあるFoxconnの工場は、iPhone 11シリーズおよび今後登場するiPhone SE2にとって最重要の生産拠点で、そこに大幅な遅延が発生しています。

iPhone SE2は3月中旬に発表および発売、価格は399ドル(約4万3000円)との予測が固まりつつありますが、今年秋発売と見られるiPhone 12よりも発表および発売時期が近いだけに、発売時期の延期もしくは当初の品薄という形での影響が出る可能性があると考えられます。

(引用:https://japanese.engadget.com/jp-2020-02-10-iphone-se2-iphone-12.html)

iPhone SE2が発売されないと、低価格帯の主力端末であるiPhone 7・iPhone 8のニーズは継続されると考えられます。そのため、2020年3月の相場ランキング大きな変動はなくなるでしょう。iPhone 7・iPhone 8はMVNOへの乗り換え端末としても需要が高いため供給を上回る場合は取引価格が上昇する可能性があります。

ヤフオク!・ムスビー・メルカリ・ラクマの主要フリマサービスの取引量を調査したところ、例年3月にAndroid各社が新端末発売、4月にAppleが新端末発売という流れを鑑みると、2月のスマホ市場全体の取引量は落ち着く傾向にあります。

▼iPhone市場全体の取引量の推移(2019年4月~2020年2月)

上記のiPhone全体の月間サービス別取引量を見ると、BtoB取引が多いヤフオクやムスビーよりも、CtoCのメルカリの取引数が減少していることがわかります。

そのため、2月時点ではフリマ市場での大幅な取引数の減少に、端末の在庫の枯渇が起因しているとは考えにくいようです。

2020年3月、さらに新型コロナウイルスの影響で外出自粛するユーザーが増え、新規契約・機種変更の件数が減少することを考えると、例年通りの取引量増加の見込みは難しくなると考えられます。

【iPhone格安SIM通信について】

アナリスト 菅野 辰則 ― ライター
アナリスト 菅野 辰則 ― ライター

1983年生まれ。株式会社マーケットエンタープライズ  中古モバイル市場アナリスト
ソフトウェア開発会社にて、開発業務からスタートし、新会社設立時のWebマーケティング全般の業務を担った後、2010年にマーケットエンタープライズに入社。 当社でWebマーケティングの責任者や経営企画を担当後、現在は、メディア・プラットフォーム事業の責任者に従事する。膨大なデータの分析・管理能力を活かして、中古モバイル市場の動向を分析するアナリストも兼任する。