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- 更新日:2020年10月22日
iPhone 12シリーズ発売の影響は―菅政権の通信料金値下げで変わる中古スマホ市場
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本記事では、中古スマホ市場で取引量の多かった端末をランキング形式でご紹介しています。
中古スマホを使って賢い消費をしたい方は、ぜひ参考にしてください。
※フリーマーケットアプリやインターネットオークション等主要4サイトの取引実績により抽出した価格情報を元に、2020年第2四半期と第3四半期を比較しています。
目次
人気は変わらずiPhone 8、取引数増加はiPhone SE(第2世代)
2020年第3四半期のiPhone全体の取引数は、前四半期と比べて9.4%減少しました。
商品状態の内訳は、新古品が12.4%減少、中古品が9.0%減少しています。
iPhoneの新古品の減少は、キャリア各社での端末割引キャンペーンの実施頻度が2020年第2四半期に比べて少なかったためだと考えられます。
2020年第2四半期の新古品取引数の増加に寄与したのは、4月のドコモオンラインショップ限定キャンペーン「SPECIAL特典」と「SPECIAL割引 第2弾」です。
これらのキャンペーンを利用して、オンラインショップで新品端末を購入したユーザーが転売し、新古品の取引量が増加しました。
中古iPhoneランキングの1位~3位は前四半期と変わらず、iPhone 8 64GB(ソフトバンク、ドコモ、au)でした。
▼iPhone 8 64GB 美品(目立った傷汚れのなし品)の相場価格 / 四半期推移(2019年1Q-2020年3Q)
中古市場でメインで取引されたiPhone 8(目立った傷汚れなし品)の平均価格は23,800円と、前四半期の平均取引価格から2.9%減少しています。
例年では各四半期ごとに各端末ごとに10%ほど価格下落する傾向ですが、前四半期では23.4%減少しており、平均価格は24,500円でした。
前四半期のiPhone 8の価格下落の要因は、2020年4月に発売されたiPhone SE(第2世代)でした。
2020年第3四半期では、iPhone SE(第2世代)の発売から数カ月経過していることもあり、価格の減少幅は落ち着いています。
iPhone SE(第2世代)は見た目はiPhone 8さながらで、iPhone 11に搭載された最新A 13Bionicチップを搭載しつつ、価格は4万円台のミドルレンジスマホです。
そのため、中古iPhone市場で同価格帯のiPhone SE(第2世代)と比較検討する際に、中古iPhone 8の需要が減少し、取引価格の減少は継続もしくは横ばいで推移すると考えられます。
ランキング圏外ではあるものの、前四半期比で取引数が最も増加したのはiPhone SE 64GB(第2世代) (au)となっており、同端末のSIMフリー版も同程度で増加しました。
iPhone SE(第2世代)は2020年4月に発売された端末なので、新品・未使用品を中心に取引されています。
今回、SIMフリー版が中古市場に流通しているのは、9月中旬からMVNOの「BIGLOBEモバイル」「J:COM MOBILE」にて取り扱いが開始したためだと考えられます。
従来、日本でのOSシェア率はiOSの方が優勢でしたが、2019年12月のMMD研究所の調べによると、iOSが42.8%、Androidが57.2%とAndroidが優勢であることが明らかになっています。
これを踏まえAppleは、Airpods Proなどの周辺機器や、Apple CardやApple Arcade、ヘルスケアなどの新規サービスでユーザーを囲む戦略にシフトしています。
2020年4月に発売されたiPhone SE(第2世代)は、取り扱うキャリアへの要求ハードルが低いため、サブキャリアやMVNOでの発売が実現したと考えられます。
新型iPhoneが発売されてすぐに手に入れたいユーザーはAppleもしくはキャリア各社での購入、型落ちiPhoneを手に入れたいユーザーはサブキャリアもしくはMVNO各社と棲み分けがされていました。
サブキャリアとしては、型落ちモデルのiPhone 8を取り扱っても他社がiPhone SE(第2世代)を取り扱ってしまうと売れなくなってしまうため、サブキャリア2社・MVNO各社で発売されたと考えられます。
iPhone 12 mini乗り換えで進むiPhone 11シリーズ離れ
第12世代以降モデルの前四半期と比較した取引数は、ほとんどのモデルで減少もしくは横ばいとなりました。
しかし、iPhone SE(第2世代)は2020年4月の発売から時間が経っていないため、大きな価格の下落は見られませんでした。
一方、ハイエンドモデルのiPhone 11 Pro/Pro Maxは、取引数が増加。
これらの機種の取引数の増加は、2020年11月発売の新モデルiPhone 12 miniの後押しにより続くと考えられます。
iPhone 12 miniの販売価格は74,800円(SIMフリー端末)となっており、iPhone 11 Pro/Pro Maxは、元値からの下落率が低く、再販価値が高い機種です。
機種変更を検討しているiPhone 11 Pro/Pro Maxユーザーが端末を売却し、売却したお金を元手に新品のiPhone 12 miniを購入したとしても、充分お釣りが来ます。
ハイエンドモデルを手放して、引き換えに新品のiPhone 12 miniを手に入れるという新たな消費行動が生まれるかもしれません。
Galaxy A20人気はピークか
2020年第2四半期のAndroid全体の取引数は、前四半期と比べて2.6%減少しました。
商品状態の内訳は、新古品が29.1%減少、中古品が8.6%増加しています。
中古Androidランキングの1位は、前四半期同様Galaxy A20でした。
Galaxy A20は、2020年第3四半期でも家電量販店の最大一括0円キャンペーンの対象端末で、新古品を中心に取引されました。
Galaxy A20の販売価格は税抜きで2万円を切るエントリーモデルのスマホです。
10月から施行された電気通信事業法の改正によって、キャリア各社が販売するススマホの割引額は2万円までに制限されることになっています。
この規制の中でも、Galaxy A20は一括0円に近い価格で手に入れられるスマホとして注目を集めましたが、ドコモの2020年秋冬モデルで同価格帯のエントリーモデルが発売されるとの発表がありました。
ドコモの2020年秋冬モデルでは、AQUOS sense4が同価格帯の高性能スマホとして注目を集めています。
AQUOS sense4は、AQUOS sense5Gよりも処理性能が優れているSnapdragon 720Gを搭載し、標準・広角に加えて望遠カメラも搭載したトリプルカメラを採用しています。
AQUOS sense4の発売日は11月上旬が予定されているため、今後の中古Android市場でGalaxy A20の取引数は減少傾向だと考えられます。
最も取引数が増加したのは、5位のXperia XZ1でした。
Xperia XZ1は、ドコモの2017年秋冬モデルとして発売された3年前のハイエンドモデルで、機種変更のタイミングが来たため、中古市場にて活発的に取引されていると考えられます。
ドコモ版Xperia XZ1の中古品が秋葉原などの中古販売店にて、約1万7000円から購入することができるため、当時の販売価格から約7~8万円価格を下げた状態で手に入れることができます。
Xperia XZ1の主なスペックは、Snapdragon 835の搭載、メモリー4GB、ストレージ64GB、カメラ性能は1920万画素のカメラを備えており、防水・防塵やフルセグ、おサイフケータイに対応しています。
新型コロナウイルスの影響によるタブレット需要は落ち着きをみせる
2020年第2四半期のiPad全体の取引数は、前四半期と比べて16.5%減少しました。
中古iPadランキングの1~2位は前四半期同様、iPad mini4、iPad Air2でした。
中でも大幅に取引数が減少したのは、5位のiPad(第7世代)です。
<p>▼iPad取引数 / 四半期推移(2019年1Q-2020年3Q)p>新型コロナウイルスの影響による、自宅でのタブレット端末の需要やテレワークの需要による取引数の増加は前四半期で落ち着きました。
iPad(第7世代)の取引数の減少要因は、iPad(第8世代)の買い控えが考えられます。
iPad(第8世代)は、2020年9月18日(金)にAppleから発売され、Wi-Fi+Celluarモデルはキャリア各社から9月23日(水)から販売が開始しています。
iPad(第7世代)とiPad(第8世代)の機能面では大きな刷新はなく、プロセッサの差がメインであるため、iPad(第7世代)が今後値価格を下げて発売されることも期待できます。
総評
2020年第3四半期は、Appleとキャリア各社から新型iPhone 12シリーズが4モデル発表されました。
iPhone 12/12 miniがミドルレンジモデル、iPhone 12 Pro/Pro Maxがハイレンジモデルとなっており、全モデルともに5G通信に対応、最新OSのA14 Bionicチップを搭載しているのが大きな特徴です。
iPhone 12シリーズの発表に合わせて、iPhone 11とiPhone XRの値下げも発表されると同時に、オンラインストアからはiPhone 11 Pro/Pro Maxがラインナップから除外。
Appleはこれまでも、最新モデルを発表すると既存モデルの価格を下げ、1~2年は最新モデルとの併売を行っています。
iPhone 11は、2019年9月に発売されたばかりのモデルで、中古iPhone市場での値崩れは少ないものの、前回モデルから大きな刷新のなかった廉価モデルのiPhone XRは、キャリア各社やサブキャリアでの在庫処分による価格変動が考えられます。
加えて、機種変更を検討しながらiPhone SE(第2世代)を購入しなかったiPhone 7/8ユーザーが、新シリーズのiPhone 12 miniやiPhone 12に機種変更する可能性があります。
iphone 12シリーズは、5G対応スマホとして注目を集めていますが、残念ながら日本ではまだ5Gサービスの恩恵を受けられる環境が整っていません。
これらを理由に、iPhone 12シリーズへ買い控えるユーザーが一定数出てくると想定すると、iPhone 12シリーズの発売による中古iPhone市場への影響は大きくないと考えられます。
しかし、5G通信ではなく、2020年第3四半期の結果からも、iPhone SE(第2世代)のような小型スマホへの期待を寄せるユーザーも少なくないため、今後の取引数の変動に期待です。
また、菅政権の「携帯電話の通信量値下げ」が実現した場合、分離プランの影響も相まって、端末購入の負担がより一層顕在化し、キャリア各社の買い替えプログラムへの購入の増加が考えられます。
買い替えプログラムでは、2年ごとにユーザーから端末の回収を行うため、回収端末が増加していきます。
これを、auとソフトバンクではサブキャリアがリファビッシュ品として販売を行なっています。
現在、NTTドコモのサブキャリアは存在しないため、NTTグループとなったNTTドコモのサブブランドが出来るのではと注目が集まっています。
キャリア各社のリファビッシュ品販売の活発化が進むと、中古での購入が一般化されはじめ、中古端末の適正価格を調べる動きがユーザー間で広がり、中古スマホ相場のデータがより重要になってくるかもしれません。
【iPhone格安SIM通信について】
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1983年生まれ。株式会社マーケットエンタープライズ
中古モバイル市場アナリスト
ソフトウェア開発会社にて、開発業務からスタートし、新会社設立時のWebマーケティング全般の業務を担った後、2010年にマーケットエンタープライズに入社。
当社でWebマーケティングの責任者や経営企画を担当後、現在は、メディア・プラットフォーム事業の責任者に従事する。膨大なデータの分析・管理能力を活かして、中古モバイル市場の動向を分析するアナリストも兼任する。
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